そろばんの掛け算のやり方:子ども向けステップガイド

執筆 · 10年間の指導経験

保護者が珠を指さす中、そろばんで掛け算をする笑顔の子ども

そろばんで足し算・引き算が自信をもってできるようになったら、次は掛け算です。46×3のような問題が、筆算1ページ分ではなく、わずかな珠の動きで解ける。そろばんの力を子どもが実感する瞬間でもあります。

このガイドでは、そろばんの掛け算の考え方、始める前に必要な力、例題つきの手順、解答つきの4段階練習プラン、よくあるまちがいを紹介します。

基本の考え方:1けたずつ掛けて、足す

そろばんは大きな数を一度に掛けるわけではありません。九九で求められる1けたどうしの積に分け、それぞれを正しいけたに足していきます。そろばんは足し算が得意なので、掛け算は「位を決めて足す」作業の連続になります。

たとえば23×4。23の2は十の位なので、4×2十=8十=80。次に4×3=12。合わせて80+12=92です。そろばんでは80を置き、8を置いたけたから12を足します。下の図がその珠の動きです。

熟練者は、のちに同じ珠の動きを頭の中のそろばんで行うようになります(Stigler, 1984)。インドの学校で行われた大規模な研究では、数年間珠算式暗算を学んだ子どもは比較グループより計算の成績がよくなりましたが、効果の大きさには個人差がありました(Barner et al., 2016)。

始める前に身につけておきたいこと

掛け算はいくつかの力を組み合わせて使います。まず次の点を確かめましょう。

  • 999までの数を、珠を数えずに置いたり読んだりできる。
  • 5の友だち・10の友だちを含め、2けたの足し算を正確にできる。
  • 2〜9の段の九九を、指を使わずにほぼ言える。
  • 位取りがわかる:23の2は2ではなく20を表す。

九九がまだあやふやなら、そろばんの足し算は続けながら、九九だけを毎日数分、カードなどで別に練習しましょう。新しい計算法と不確かな九九を同時に扱うと、どちらも難しくなります。

「2けたで考える」きまり

1けたどうしの積は、十の位と一の位の2けたで考えます。3×4=12、2×4=08。「はち」ではなく「ゼロはち」と考えると、どの積もちょうど2けた分の幅になります。

この2けたをどこに置くか。一の位の数字は、掛けた2つの数の位で決まります。一の位×一の位なら一の位、十の位×一の位なら十の位、十の位×十の位なら百の位に置き、十の位の数字はそのひとつ左に置きます。この文を覚える必要はありません。最初の数週間、位を声に出して言うだけで十分です。

手順を追って:23×4

定位点のあるけたを一の位に決め、そろばんをご破算にします。次の手順を声に出しながら進めましょう。

3つのそろばん:0、4×2十を足して80、4×3=12を足して92
そろばんで23×4:0から始め、4×2十(80)を足し、さらに4×3=12を足して92。オレンジの珠が各ステップで動かした珠です。
  1. 十の位を掛ける:4×2=08。8十なので、十の位に8を置きます。そろばんは80。
  2. 一の位を掛ける:4×3=12。十の位に1、一の位に2を足します。
  3. 答えを読む:92。見積もりで確かめます。23は25に近く、25×4=100なので、92は妥当です。

繰り上がりのある例:46×3。まず3×4=12十なので120を置き、次に3×6=18を足して138。繰り上がりはそろばんの足し算が自然に処理してくれます。だからこそ、先に10の補数を確実にしておくことが大切です。

2けた×2けた:23×14

掛ける数が2けたになると、4つの部分積を足します。23×14なら:

  • 2十×1十=2百 → 200を置く。
  • 2十×4=8十 → 80を足す(合計280)。
  • 3×1十=3十 → 30を足す(合計310)。
  • 3×4=12 → 12を足す(合計322)。

すでに知っている2つの計算に分ける方法もあります。23×10=230、23×4=92、230+92=322。どちらも答えは同じです。前者はそろばん教室のやり方に近く、後者は初めての子どもにとってよい橋渡しになります。

置き方についての注意:日本のそろばん教室では、被乗数をそろばんに置き、決まったきまりで積を置いていく標準的な方法を使います。先生の置き方はこの記事と違うかもしれませんが、「1けたどうしの積を位に合わせて足す」という原理は同じです。

解答つき・4段階の練習プラン

急がずにほとんどの問題が正しく解けるようになるまで同じ段階にとどまり、それから次へ進みましょう。

そろばんの掛け算・段階別練習
段階種類例題(答え)
12けた×1けた(繰り上がりなし)21×3(63)、32×3(96)、12×4(48)
22けた×1けた(繰り上がりあり)46×3(138)、27×4(108)、58×6(348)
33けた×1けた123×3(369)、214×4(856)、365×7(2555)
42けた×2けた23×14(322)、31×22(682)、45×12(540)

1日5〜8問で十分です。短い練習を何日かに分けて続けるほうが、1回の長い練習よりも記憶に残りやすいことがわかっています(Cepeda et al., 2006)。掛け算を練習時間にどう組み込むかは1日10分のそろばん習慣で紹介しています。プリントのページから練習問題を印刷することもできます。

よくあるまちがいと直し方

まちがいの多くは次の4つに分けられます。

  • 積を置くけたがずれる(答えが10倍や10分の1になる):一の位を指で押さえ、「十の位×一の位は十の位」と位を声に出しましょう。
  • 0の積を忘れる:205×3では、3×0=00もそのけたを占めます。答えは615で、75や6015ではありません。
  • 九九が遅い:途中で数えているなら、九九を別に練習しましょう。そろばんの計算は、使う九九より速くはなりません。
  • 繰り上がりのまちがい:これは足し算のまちがいです。数日、10の補数を使う足し算に戻りましょう。

問題ごとに先に見積もる習慣をつけましょう。365×7が「だいたい400×7=2800」とわかっていれば、25550という答えはすぐにおかしいと気づけます。見積もりは、のちの珠算式暗算を支える数の感覚も育てます。

まとめ

そろばんの掛け算は、新しく覚える裏ワザではありません。九九とそろばんの足し算を、位取りにそって組み合わせたものです。足し算と九九を固め、「2けたで考える」きまりを使い、4つの段階をゆっくり進み、毎回答えを見積もりましょう。こうして学んだ子どもは、なぜその位に数字が入るのかが見えるので、筆算の掛け算も楽になることが多いのです。

土台を保つために、掛け算の日と初心者向けのかんたん練習の日を交互にし、オンラインそろばんでも練習しましょう。

よくある質問

そろばんで掛け算はどうやるのですか?

問題を九九の積に分け、それぞれの積を位に合ったけたに足していきます。23×4なら、4×2十=80、4×3=12、合わせて92です。

そろばんの掛け算はいつから始めればいいですか?

5と10の補数を使った足し算がすらすらでき、九九がほぼ言えるようになってからです。多くの子どもでは、数か月の継続練習のあとになります。

先に九九を覚える必要がありますか?

ほぼ必要です。そろばんは積を速く足してくれますが、7×8=56を知っていることの代わりにはなりません。

なぜ2×4を「08」と考えるのですか?

どの積も2けたで考えると、ちょうど2けた分の幅になり、正しい位に置けてずれません。

そろばんの掛け算は筆算より速いですか?

練習を積めば、たいていは速くなります。書く手間がなく、繰り上がりも珠の動きで処理できるからです。最初は速さより正確さを大切にしましょう。

参考文献